大学生の頃、お好み焼き屋さんの風月でアルバイトをしたことがあります。
ホールスタッフということだったので、運んだり片づけたりという簡単な作業だと思っていました。
時給は当時でも低い方で、600円でした。でも、時給が低いからこそ、仕事内容も単純だと思ったのです。
けれど、実際入ってみると、そこはひどい人手不足の状態で、出来ること何でもする様にと言われました。
お好み焼きを運ぶこと、食器の片づけはもちろんですが、
実際にお客さんの前でお好み焼きを作ったり、もんじゃの作り方を説明したりも全てだったのです。
その作り方も教えてはくれませんでした。自分で見よう見まねで覚えていくしかなったのです。
定期的にソースやマヨネーズの補充も必要だし、その店ではサービスで味噌汁を出していたので、
お好み焼きが焼けるころを見計らって味噌汁を出しに行かなければなりません。
それ以外にも、レジもやるし、食器洗いもするし、
時にはお好み焼きの材料を切ったり粉を計ったりということもしました。
掃除も御冷や出しも、おしぼりを畳むことも、店内の仕事ほぼ全て任されたのです。
そこは案外広いお店だったので、奥にある座敷にお客さんがいることを忘れたりして、叱られることもしばしばありました。
でも、助かったのは食事です。
私はお好み焼きが大好きだったので、そこに努めている間、毎日休憩時間に賄としてお好み焼きを食べさせてもらえました。
その日によって、希望を言えば、ちょっと高級なデラックスとかも可能なのです。焼きそばの日もありました。
それが楽しみで頑張っていたようなところもあります。
一番困ったのは帰るときでした。とにかく臭いが全身につきます。油の様なひどい臭いです。
バスでの帰宅だったので周りにふりまく臭いが気になって、毎日うつむいたままバスを降りるようにしていました。
でも、人間関係は良く、楽しく続けられました。